わたしたちが言葉にするのは、言葉にできない想いと、言葉にするまでもない些細なことの間だけだと、イラストレーターで絵本作家のヨシタケシンスケさんは言います。
『あるかしら書店』でヨシタケさんのゆるくて深い世界に触れて以来、すっかり独特の魅力にはまったわたしが今回手に取ったのは、3月に発売された『思わず考えちゃう』。
ふだん、思いついては忘れていってしまう些細な気づきをヨシタケさんがメモに書き留めたイラストと一言コメントをメインにしたこの本は、言葉にするまでもない一人の人の頭のなかみを知ることができる、興味深い一冊でした。
- マツキヨの「ご自由にお使いください」で試されてる気がした話
- 3個パックのヨーグルトとか、ストローのゴミってどうしてる?
- こどもの頃は、あめ1こで幸せになれたのに
- 『思わず考えちゃう』は日常のささいなことに気づかせてもらえ、マインドフルになれる1冊
▼ヨシタケシンスケさんの本の感想まとめました
マツキヨの「ご自由にお使いください」で試されてる気がした話
1~3ページほどのイラストと文章がたくさん集まっているこの本の、一番最初の話はタイトルが「ご自由にお使いください」。
ヨシタケさんがマツキヨに行ったとき、店内に「ご自由にお使いください」という小さい箱に、レシートのゴミが入れられているのをみつけました。
メイクを試す用のコットンか何かが入っていた入れ物が空になったのでは?と推測されるこの箱をみて、「自分が試されてる気がしちゃった」というヨシタケさん。
そういう視点、あったのか…!
でもなんか、改めて考えると、我々の人生も、神様に「どうぞご自由にその体をお使いください」って言われて、この世に生まれてきてるわけです。
そこで皆さん、いろんなことを本当は自分で決められるはずなのに、レシート捨てられたりしてるわけですよね。
ドラッグストアの空き箱から生き方について考えるとは…でも確かに言う通り、やりたくないことやつまらないことに人生の時間を使ってるよなぁと。
おもしろい考え方をする人だなぁって、一番目の話からヨシタケさんの世界に引き込まれます。
3個パックのヨーグルトとか、ストローのゴミってどうしてる?
別な話で、
- 3個パックのヨーグルトの包装している台紙をどのタイミングで捨てるか
- ストローの袋のゴミをしわしわのまま置いておくか畳んで小さくするか
ということが気になってしまうという話題が登場。
わたしはけっこうゆるっと生きているので、3個パックのヨーグルトのゴミは当然最後の1個を食べる時に捨てるし、ストローのゴミがどうなってるかなんてあまり気にしたことがありません。
普段生活をしていて、自分にとっては当たり前の習慣になっていることや、気にかけたこともないことを、他の人はものすごく意識して暮らしているのかもと気づかせてもらいました。
こういうきっかけがなかったら、ヨーグルトのゴミをいつ捨てるかなんて一生意識することもないまま当たり前に3個目食べるまで3個目のヨーグルト+ゴミを冷蔵庫に入れ続けてたはず。
(ちなみにヨシタケさんは2個目を食べる時に捨てたいそう。編集さんは、1個食べたらゴミは捨てるそう。驚き!)
新しい視点を増やすって大切だしおもしろいなぁと思った話でした。
こどもの頃は、あめ1こで幸せになれたのに
ラーメン屋さんで帰りにあめを1こもらって、予想外のできごとにパァっと笑顔になった女の子を見かけた「ラーメン屋さんでアメをもらった子のうれしそうな顔」という話。
大人達は今やもう、幸せになるのに一、二万円必要じゃないですか。
わたしたちはみんな、あめ1個で幸せになれた時代があったのに。
いろんな経験をして大人になるうちに、幸せになるためにかかる金額も増えてしまったという悲しい事実。
コンサートに行ったりエステ行ったりするのに、1・2万円かかっちゃうもんね。
友達とごはんに行っても1万円なんてすぐなくなっちゃうし。
アメ1こで幸せになれたころには戻れないのかもしれないけれど、些細なことにも喜べる自分でいたいなぁと思わせてもらいました。
『思わず考えちゃう』は日常のささいなことに気づかせてもらえ、マインドフルになれる1冊
この本を読んで「マインドフルネスについて考えた」というブログを拝見しました。
▶『思わず考えちゃう』を読んで、思わず「マインドフルネス」を考えた|ブログ|学びデザイン Official Site
日常のひとつひとつに注目して暮らすだけで、生活のなかにおもしろいことや不思議なことはたくさんあることに『思わず考えちゃう』は気づかせてくれます。
スマホの画面を見ながら通り過ぎてしまっていた道や、考え事していて見えていなかった景色に目を向けることをもっと意識して、毎日をもっと楽しみたい!と思えた1冊でした。
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