選挙の日のニュースzeroで、若槻千夏さんが「学校の先生は18時時以降何かあっても対応してくれないの?さみしい!」と発言しました。
発言について視聴者や学校関係者からたくさんの意見が上がり、炎上。
学校の教員の立場としても、「これまでは何時でも先生たちが対応してくれたのに、さみしい」という気持ちは分かります。
ではなぜ今、学校での教員の対応が変わってきているのか。
みなさんにも知っておいてほしいお話をしていきます。
学校の教員の勤務時間は17時前後までです【18時でも残業】
学校の先生たちにも決められた勤務時間があり、8時~17時くらいの学校が多いです。時間の中で7時間45分の勤務をしています。
留守電対応になるまでの18時ですら残業1時間ほどなんです。
でも、普通に働いているだけで先生たちは時間外労働をしています。
- 子供たちが来る前に学校の門や校舎のカギを開ける
- 部活動の指導
- 授業の準備やテスト・提出物のチェック
- 児童生徒がいる時間にはできない会議 などなど。
児童生徒が学校にいる時間だけで教員の勤務時間はほぼ終わってしまいます。
授業以外の事務仕事などは、ほとんどすべて時間外でしているのが現状です。
先生のみなし残業は1万円 何時間残業しても残業手当はつきません
学校の先生にも、みなし残業のような制度があるのをご存知ですか?
教員調整額という名前で、毎月給料の4%分支給されるお金です。
なぜ4%かというと、この制度ができた何十年前は平均残業時間がそれくらいだったからだそう。
「お給料以外にお金もらえるんだ、いいなぁ!」と思った方、甘いです。
教員調整額は、1万円ほどしか出ないんです。
その上、それ以外の残業代はつきません。
一般企業の採用条件を見ていると、最近はみなし残業で40時間とか60時間分をはじめから数万円支給してくれる会社が多いですよね。
さらにそれ以上に長く残業することがあったら、当然残業代が別につきます。
たいていの企業は、みなし残業の時間より少なく働くことを前提にお金を出してくれます。
たとえば、毎日定時退勤をしたとしてもみなし残業のお金はもらえるので、ほとんどの人にとってみなし残業はラッキーな制度と言えます。
教員のみなし残業手当は4時間分しかない
しかし、教員の世界のみなし残業(教員調整額)は、自給換算するとほんの4時間分ほど。
が、1か月の時間外勤務が4時間未満なんて先生いたら、その人は神レベル。
普通に働いているだけで、教員の残業時間は40時間とか80時間とか、100時間越えになったりします。
わたしも一番残業していたころは、時間外勤務160時間というのを打ち出しました。
くわしくはこちら▼
みなし残業の時間内で仕事を終えるなんて無理ゲーなのに、残業代もつかないさみしいお仕事なんです。
みなし残業が4%のままなら、先生たち月に4時間しか時間外勤務しなくていいんじゃない?留守電も18時を待たずに17時からでぜんぜんオッケーでは?ということになるんです。
「さみしい」と言われても、先生たちの対応はもう限界
今回の若槻千夏さんの発言のように、「学校の先生なんだから、子どもに何かあったら何時だろうと対応してほしい」という気持ちは、わたしも分からなくはありません。
これまでは対応してくれたのに、どうしてこれからは対応してくれないの?って思いますよね。
先程はお金の話だけをしましたが、学校の先生の働き方は今、限界に来ています。
- 過労死すると言われる時間外勤務が60時間をこえている先生多数
- なのに残業代すら出ない
- 英語やプログラミングなど学習内容は増えるばかり(実は時間割にも収まりきっていない)
- 休憩すら取れない
- ブラックな仕事と言われ、教員を志望する人がいなくなってきている などなど。
働き方改革というワードが生まれて、ほんの少しだけ学校のなかでもそよ風がふきつつありますが、企業の動きに比べたら何もしていないのと同じレベルで変わっていないというのが今の学校なんです。
子供たちにいい教育を受けさせたかったら、大きい声を出していこう
今回、若槻千夏さんが学校の教員の仕事について、大きな声を出してくれたのは個人的にはありがたかったと思っています。
教育や学校って、だれもが関わるものなのに遅れすぎているからです。
だって、勤務時間長すぎで過労死レベルなのに休憩もとれない上に残業代もでないなんて、この時代にもうムリだよ。
学校の先生たちはリッツ・カールトンと同じくらいのサービスレベルを求められている中で、もうこれ以上頑張れないところまで頑張っています。
教育を変えたかったら、おかしいと思うことやもっとよくしてほしいと思うことにもっとみんなで声をあげましょう。
保護者の方の声がたくさん届くのが、一番学校を変えるって実感しています。
(いじめのこととか、去年の熱中症対策とか。)
もはや教員個人のレベルや学校単位のレベルでは、どうすることもできません。
政治家のみなさんや文部科学省の偉い人に声を届けて、もっと教育にお金を使ってもらえるようにしていきましょう。
以上、教員の働き方やお金についてのお話でした。
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